ムラノ参議は下卑た笑いを浮かべながら、じりじりと近づいてくる。
クオンはもはや不愉快さを隠さなかったが、参議は何食わぬ顔だ。
「皇太子殿下。
私めには娘が二人おるのですが、御存知いただいておりますでしょうか」
「……ええ、会ったことはありませんが。
たしか、姉御がハツノ殿、妹御がナツノ殿、と仰言いましたか」
「ええ、ええ!
光栄でございます。
名まで御存知いただいておりますとは」
白々しく大袈裟に手を叩く参議だったが、やはりクオンは眉を顰めたままだ。
「………その娘御がたが、どうかなされましたか」
「いえいえ、それがですね。
我が娘ながら、特に長女のハツノと言いますのは、幸いにも、非常に見目良く、気立てもよく育ちましてな」
「はぁ……」
親しくもない男の、会ったこともない愛娘の自慢話が突然始まり、他人の噂話になど何の興味もないクオンは辟易する。
「それでですな。
いや、皇太子殿下にとっては青天の霹靂とお思いになるかも知れませんが」
ムラノ参議は勿体ぶった口調で言う。
クオンはもはや不愉快さを隠さなかったが、参議は何食わぬ顔だ。
「皇太子殿下。
私めには娘が二人おるのですが、御存知いただいておりますでしょうか」
「……ええ、会ったことはありませんが。
たしか、姉御がハツノ殿、妹御がナツノ殿、と仰言いましたか」
「ええ、ええ!
光栄でございます。
名まで御存知いただいておりますとは」
白々しく大袈裟に手を叩く参議だったが、やはりクオンは眉を顰めたままだ。
「………その娘御がたが、どうかなされましたか」
「いえいえ、それがですね。
我が娘ながら、特に長女のハツノと言いますのは、幸いにも、非常に見目良く、気立てもよく育ちましてな」
「はぁ……」
親しくもない男の、会ったこともない愛娘の自慢話が突然始まり、他人の噂話になど何の興味もないクオンは辟易する。
「それでですな。
いや、皇太子殿下にとっては青天の霹靂とお思いになるかも知れませんが」
ムラノ参議は勿体ぶった口調で言う。



