天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

「うーん、やっぱりフジハ領の霞はいい薫りねぇ」



ミカゲは小箱を両手にとり、顔に近づけて薫りを楽しむ。



「いただきまーす」



アスカはさっそく小箱を覗き込み、掌でそっと霞を掬いあげ、口を窄めて吸い込んだ。



「うん、おいしい!

口触りも良いし、なにより薫りがずっと残ってる!」


「ふふ、持ってきた甲斐があったわ」



ミカゲは嬉しそうに言い、自分も霞を口に運んだ。




クオンも薫りを楽しんでから、そっと口に含んだ。



「……こんな風に、外で食事するって、本当にいいわね」



心地よい風を全身に受けながら、大きく伸びをして、目を細めてミカゲは言う。



「そうだな。

私たちはいつも天宮に閉じこもっているからな」



クオンも頷いた。



「二人共がんばりすぎなんだって!

なんでもっと気儘に外に出たり、飛んだり、好きなことできないの?」



無邪気なアスカの問いに、ミカゲもクオンも黙ったままだ。




それぞれに穏やかな表情を見せながら、自分の考えに没入していく。



アスカは二人の顔を見比べながら、「わけわかんないや」と呟いて、地面に寝転がった。