天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

小さな身体を病魔に貪られ、真っ赤な顔で苦しむミカゲの姿を、クオンは幾度となく見てきた。



そのため、ミカゲが少しでも陽に当たる可能性があるときには、日除けになるものを持ってくるのを忘れたことはない。




それなのに、当の本人が忘れたことは数えきれないのだから、クオンは気が抜けないのだ。



(……ミカゲは、自分の身体がいかに脆くて壊れやすいのか、全く自覚していない)



苦労性のクオンは、重い溜息を吐かずにはいられないのだった。




なぜだかげんなりした顔の婚約者に、再び全身を覆うようにしっかりとストールを掛け直されたミカゲは、肩から落ちてしまわないように細い指でストールの端を抑えた。




そして、長身のクオンを下から見上げ、満面の笑みを浮かべる。



「いつもありがとう、クオン」




その白い相貌は、太陽の光を直に浴び、小さな光の粒子を肌全体に塗り込めているように見えた。



強い光に照らされた、細くも芯のある白銀の髪の毛は、一本一本が純白の蜘蛛の糸のように艶を放っていた。



長い睫毛も星屑を散らしたように輝く。





あまりの清らかさに、ミカゲの姿を見慣れているはずのクオンとアスカも、思わず言葉に詰まってじっと目を奪われてしまう。