天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

頭上の太陽が放つ光が、じりじりと強さを増してきた。



足下の陰が濃くなっているのに気づき、クオンはふと我に帰る。


天宮から持ってきた大判の厚手のストールを取り出し、「おい、ミカゲ」と呼んだ。


「なぁに? クオン」


ミカゲは嬉しそうに振り返る。



「陽射しが強くなってきたぞ。

肌が灼けたら後が大変だろう」



そう言いながら、ストールをミカゲの頭から被せる。



「あら、ありがとう。


クオンったらさすが、しっかりしてるわね。

私、日除け持ってくるのすっかり忘れてた、助かるわ」



「……そんなことだろうと思ってたよ」



クオンは呆れたようにミカゲを見る。






ミカゲはその特異な体質のため、極端に、陽光に弱い。



色のない瞳は、光を受けると目が眩み、よく見えなくなるらしい。




そして、たとえ半刻程度であっても、直射日光を浴びるとすぐに肌が真赤になってしまう。



酷いときには、夜になると全身が粟立ったようになったり、火傷のように灼け爛れてしまうこともある。




そうなると、身体もそれほど強くはないミカゲは、すぐに発熱して数日間は熱が引かないのだ。