オアシス・カフェ〜三人のプリンス〜


「それって、彼女いるからとか、ですか?」


店の女性客、スタッフ全員がゴクリと唾を飲み、卓人さんの返事を待っているようだった。

私も、補充途中のおしぼりをぎゅっと握り締めた。


「お!面白いことになってる」


カウンターに入ってきた蒼君は、ニヤニヤしながら卓人さんを見ている。

卓人さんは何て答えるんだろう…

別に付き合ってるのを隠してるわけじゃないし、正直にいるって言うのかな…?

それとも、言ったら言ったで騒がしくなるし、敢えて言う必要もないし、いないって言うのかな…?


すると、卓人さんは一度ふぅっと息を吐くと、


「…いますよ。泣かせたくない奴が」


そう言って、私の方を振り返った。

目を細め、柔らかな笑みを浮かべて。

ドクンッと心臓が跳ね上がったと同時に、驚きで持っていたおしぼりを落としてしまった。


「き、きゃあー‼︎‼︎」


店は女性客の叫び声と、男性客のどよめきで、しばらく静まることはなかった。



✴︎END✴︎