『里桜、こっちだ!お父さんの方へ手を伸ばしてごらん』


『大丈夫よ、里桜。泣かないで?ゆっくりでいいのよ』


お父さんとお母さんが必死であたしの名前を呼んでいる。


手を離せばいいと頭では分かっているのに、手を離すことができない。


手を離せば、もっと恐ろしいことが起こってしまいそうで。


先へ進むことも、引き返すこともできずにその場で涙を流す。


ただ、震えながら泣いている。


その時、視界がグラグラと揺れて、バランスを崩した。


輪の中から落ちて、何かに吸い込まれていくような感覚。


あたしはギュッと目をつぶって叫んだ。