呼吸がうまくできず、苦しくなる。 お願い、やめて。 お願い、見ないで。 お願い、助けて。 「うわぁ……悲惨……」 「鼻血だって……。ヤバくない?」 みんなの声が重なり合って、思わず耳を塞ぐ。 怖い、怖い、怖い、怖い。 みんなの視線も、声も、空気も。 全部怖い。 真っ暗な空間に閉じ込められているような感覚。 何も見えないこの場所で、声だけが降ってくる。 「マジ、汚いんだけど」 「鼻血とか最悪じゃない?」 「キモっ」 耳を塞いでも、その声はやまない。