「あたし、ママにいつも助けられてばかりだね」
呟くようにして言うと、ママはふふっと小さく笑う。
「このツケは高いよー? もし、あんたが裕貴くんと結婚までいったら、何買ってもらおうかなぁー?」
「……結局はモノですか」
「あたりまえじゃないの」
真顔でそう言うけれど、あたしはもちろん分かってる。それが本音じゃないことくらい。
「頑張りなさいよー? 早いとこ、裕貴くんの彼女になって、裕貴くんをこの家に呼んでちょうだい!」
……前言撤回。結局、裕貴先輩とお近づきになりたいわけね。
――だけど。
次にあたしが勇気を出して頑張れたのは、1年もあとのことで。
同時に、ママはあたしや家族に秘密を抱え始めた。