「メッ、メア、メアド交換ですと!?」
「えぇ。メアド交換でございますわよ、母上」
……そう。
あたしだって、頑張ったんだ。
迷子にならないように、と手をつないで出店に行き、焼きそばを買った。
裕貴先輩と手をつなぐのは焼きそばを買った時点で終了、と思っていたけれど……。
食べ終えて花火を見るために移動するとき、裕貴先輩はまた手をつないでくれた。
つながれた手は、花火を見ているあいだじゅうもそのままで。
裕貴先輩の手のひらから伝わる温もりが、あたしに勇気をくれた。
“もし良かったら、メアド交換しませんか?”
花火大会からの帰り道。
会場を出て少ししてから、あたしと裕貴先輩の手は自然と離れた。
そのタイミングで、そう切り出した。
手がつながれたまま切り出して、もしもその瞬間に手が離れてしまったら、まるで拒否されているかのように思えてしまうから。


