好きな人と肩を並べて見る花火。 どれだけ長いあいだ憧れていたんだろう。 「おっ、すげー」 夜空に打ち上げられる花火。 ちょっと凝った花火が上がると、裕貴先輩は子供のような笑顔をする。 あたしは、花火よりもそんな裕貴先輩ばかり見てしまう。 「……栗沢」 「はっ、はいっ」 突然名前を呼ばれて、心臓が大きく飛び跳ねる。 「何か食う?」 「えっ?」 「もしかして、メシ、食ってきた?」