「絶対に浴衣でしょ!」
登校してきた奈瑠美に早速、花火大会のお誘いが来たことを話すと、あたし以上に興奮していた。
「ひょっとして裕貴先輩、千春に気があるとか!? じゃないと、千春の名前なんて出さないよね!? 加古川先輩と2人でいいってなるよね!?」
奈瑠美はあたしの両肩をがっしり掴み、激しく前後に揺らす。
「た、たぶん、“スイカ事件”での印象が強すぎたんだよ」
「えーそうかなぁー。あ、そういえばあんた、浴衣は持ってるの? ないんなら、貸してあげようか?」
「あぁ、そういや浴衣持ってな……」
「ちょっと待って。これを機に買っちゃえば? そうしたら来年の夏も着れるじゃん。あ、でも、毎年同じ浴衣ってのも嫌よね!?」
……奈瑠美、ちょっと落ち着こうよ。
「……我が家の“恋愛の神様”に相談してみる」
「あぁ、そうね。“恋愛の神様”は“ATM”でもあるんだからね!」


