「裕貴と平川、同じスマホ持っていてさ。本体の色もカバーも同じだったから、見分けがつくようにストラップだけは別にしていたんだけど……」
メールの着信音がして、裕貴先輩はストラップをよく確認せずに自分のスマホだと思ってメール画面を開いた。
そこには、平川さんと友達とのメールのやり取りがあった。
「平川の友達が“裕貴くんの彼女になれていいなぁ”みたいなメールを送って、それに対しての平川の返信が……」
“いいでしょー？ でもさ、意外とつまんないんだよね。みんなに羨ましがられたけど、もういいや。飽きた”
その日のうちに、裕貴先輩は平川さんに別れを告げたそうだ。
「だから、あいつは平川に未練の“み”の字さえないから安心しろって」
未練がないのは安心できるけれど、裕貴先輩、傷ついただろうな。
泣いてまで告白してきた彼女が、“つまんない”“飽きた”なんて話を友達としていて……。
