「なに? あんまり嬉しくなさそうじゃん」
「…………」
「どうしたー?」
“平川さん”のことは、加古川先輩もきっと知っている。
「……ちょっと小耳に挟んだんですけど、“平川さん”って、裕貴先輩の元カノ?」
あたしが“平川さん”の名前を口にしたとたん、加古川先輩の顔から笑みが消えた。
「……1年の時に半年だけ付き合ってた」
「同級生ですか?」
「いや、俺らの2つ上」
あたしと入れ違いで卒業したんだ。
「裕貴先輩、ひょっとして未練あるとか……」
加古川先輩の答えを待つ。
答えによっては、あたしの初恋はこれで終わりになるかもしれない。


