疑いの眼差しでママをじっと見据えると、 「あぁぁぁぁっ、時間がないわ! 渡辺さんの奥さんがぁ……っ」 やっぱりやましいことがあるらしい。 瞬時に目をそらして病人らしからぬ叫び声を上げる。 「急ごう」 ……だから裕貴先輩。 これって間違いなく、うちの母の企みです。 ママの嘘を真に受ける裕貴先輩に申し訳なくて、すべてを暴露することだってできるはずなのに。 ……あたし、最低。 裕貴先輩と2人きりになれることのほうが嬉しかったりする。