振り返ると、ママはさっきと同じようにすまなそうな顔をしている。
「千春、ごめん。帰りに渡辺さんとこに寄ってもらえる?」
渡辺さん、とは。
あたしの家のすぐ近くの商店街にある八百屋さんだ。
「スイカが安かったから買ったの。でね、家に帰るときに取りに行くからって預かってもらってるのよ」
「……はいはい。渡辺さんとこでスイカね」
「あぁ……でも、大丈夫?」
「なにが?」
「スイカ、3個よ? このぐらいの大きさの」
言って、ママは両手で自分の顔より2回り分大きな円を描いて、どれくらいの大きさかを表現する。
……そんなバカでかいスイカが八百屋の店先に並ぶか。
そう突っ込みたくなるほどの大きさだ。


