虎太郎が見せた、長方形の大きな段ボール箱の中身。
そこにあったのは、純白のウェディングドレスだった。
「ママ……、こんなものまで……」
箱の中身を探れば、予想通りママからのメッセージがそこにあった。
【これは母上が着用したものである。娘に授けよう】
「ママが着たドレス……」
……ママは、どんな思いでここにあるすべての物を準備したんだろう。
準備だけして、“そのとき”が来る日を自分の目で見れないのに。
それでもママは途中でやめないで、あたしたちのために準備し続けたんだ。
「あとは2つだけか」
残った段ボール箱は、あと2つ。
「きっと、あの中はママの私物だよ。“欲しい物があったらもらって”ってメモがあると思う」


