首を傾げるあたしに、虎太郎は1枚のメモを見せる。
「母さんは、“姉ちゃんの母さん”でもあるだろ? だから、こういうネタバレと一緒に鍵を隠したんだよ。……姉ちゃん、難しいことは苦手だろ?」
「……なにそれ、バカにしてんの?」
メモを見ると、そこには“秘密の扉”の場所が書いてあった。
それは、家の近くにあるトランクルームだ。
【No.8003 24時間出入り自由】
親切にも、いつ出入りしても大丈夫であることまで書いている。
あたしたちは指定されたトランクルームへと直行した。
No.8003の小さなトランクルーム。
「――姉ちゃん、開けるよ?」
「……うん」
鍵を開けると、そこはママの“最期の声”であふれていた。


