ノートのどこかにヒントがあるんじゃないかと、もう一度確認してみるけれど、繋がるようなものはどこにもない。
だいたい……
このエンディングノートって、全然、意味を成していない。
書いていないページが多いし、意味不明な暗号のようなメッセージが書かれているし。
役に立ったのは、葬儀会社の名前と葬儀スタイル、そして、保険や口座のことだけだ。
エンディングノートなんて流行りのものに手を付けたのはいいけど、ママのことだから、
“なぁんか書くこと多すぎて面倒だわね”
なんて1人で呟きながら、途中で放棄しちゃったのかな。
「……あ、違う。そういうことか!」
ノートをじっくり見ていた虎太郎が突然、声を上げた。
「なによ、急に」
「やっぱり引き出しの裏だ! 鍵も、“普通の鍵”なんだよ、姉ちゃん」
「なに? 分かったの?」


