「俺、父さんに電話してくる。たぶん今ごろ、葬儀会社を探していると思うから」
「あぁ、そうね。お願い」
虎太郎はその場を離れて、パパに電話をしにリビングへと行った。
あたしは再び、ノートに視線を落とす。
ノートには、加入している保険会社のことや、預金口座のことなど詳しく書かれている。
ママが死んだあと、パパが困らないように。
それにしても――……
この家から1つ残らず消えてしまったママの私物。
いったいどこにいったんだろう?
ひょっとしたらこのノートのどこかに手がかりがあるかも、と、くまなく探すけれど、それに関しての記載はひとつもなかった。


