「明日から……また……病院……」
「うん」
「千春……普段通りの生活を……、送ってね。ママは……虫垂炎で……」
「うん。虫垂炎で入院ね? ガスが出たら退院だっけ?」
「……いつ……出るのかしら……ね?」
少しでも明るい話題に持っていきたい。
せっかくママが帰ってきたんだから。
だけど、だけど――……
あと何回、ママとこうやって話ができるんだろう。
ママの声を聴けるのはいつまで?
“千春”と、あたしの名前を呼んでくれるのは?
急に静かになったママの顔を見ると、小さな寝息を立てながら眠っていた。
涙を堪えるのが、もう限界だったけれど。
それでもあたしは、歯を食いしばって涙を堪えた。


