お茶の準備をしながら、ふと思う。
少しでも体にいい飲み物の方がいいんじゃないかって。
青汁……そう、ママが毎日のように飲んでいた青汁。
「ママ、青汁飲む? 入院してから全然飲んでなかったんじゃない?」
「あーそうだな。母さんも青汁が恋しいだろ?」
虎太郎も一緒になって言うけれど、ママはゆっくりと首を横に振って、「お茶の方がいいかな」と断った。
白湯に限りなく近いくらいの薄めのお茶を注いでママに手渡す。
湯呑を持つ手はどことなく頼りなくて、パパが隣でそっと手助けする。
「あぁ……おいしい……」
たかがお茶なのに、ママはひどく感動したように言った。
「あーそうだった、蛍ちゃんー」
ママのひざ掛けを取りに行った静子おばさんが、何かを思い出したように言いながら戻って来る。


