「蛍子、疲れただろう? 少し横になるか?」
パパが気を遣って、病院から届いたベッドが置いてある客間にママを連れて行こうとする。
「ううん……。ここに……座らせて……」
ママが指定したのはリビングにあるソファ。
誰も、反対なんかしない。
パパは、「そうだな。ここがいいよな」と言って、ママをソファにゆっくりと座らせた。
「あぁ、ママ、ひざ掛け持ってこようか? 確か……パパとママの寝室のクローゼットの中だよね?」
あまり体を冷やすと良くないかも、と思ったあたしはそう提案して、2階にあるパパたちの寝室に向かおうとした。
「あ……千春、ママ……喉が乾いたから……何か……」
「千春、私が取ってくるから、あんたはお茶を入れてあげて。薄めに入れてね」
何か飲みたいと言うママに遮られ、静子おばさんが代わりにひざ掛けを持ってきてくれることになった。


