Ending Note



「病院からの貸し出し品。お母さん、今までみたいにお父さんと同じベッドじゃ寝れないからね」



パパとママは大きなダブルベッドに一緒に寝ていた。

パパのいびきがうるさいだの、寝相が悪いだのと、ママは散々グチを言っていたけれど、それでもパパと一緒に眠ることをやめなかった。



「なんで一緒に寝れないの?」



素朴な疑問を虎太郎がぶつける。



「……お母さん、酸素ボンベ付けて来るみたいだから」


「酸素ボンベ……」


「うん。それにお父さん寝相悪いらしいから、一緒に寝たら、お母さん大変なことになっちゃうわよ?」



酸素ボンベ装着という言葉で沈んでしまったあたしたちを笑わせようと、静子おばさんはガハハ、と、大げさに笑ってみせた。



酸素ボンベが必要なくらいにまで、病状が悪化しているんだ。



思い知らされる辛い現実――……



ねぇ、ママ。

ママはそれでもまだ、“希望”を持っているの――?