「……え? 明日?」
それは、ママの余命があと2週間になったある日のこと。
「先生に頼み込んできた。1日でいいから家に帰してほしいって」
ママが久しぶりに家に帰ってくることになった。
おそらく、最後の帰宅。
あんなにも、ママの病気のことを諦めないって決めたくせに。
あたしはもう手詰まりになってしまって、残りの時間をママが少しでも平穏に過ごせる方法を考えるようになっていた。
「そうだね……。ママ、突然入院したきりだったもんね。家に帰りたいよね」
「母さん、何が食べたいかな。軽い物がいいよな」
明日は土曜日。
ママは午後に帰ってくるらしい。
「静子おばさんもお母さんと過ごしたいって言ってるから、午前中うちに来て迎え入れる準備をしてくれるらしい」


