「――俺は、姉ちゃんとは違って宣告するべきだと思う」
虎太郎は、きっぱりと言い放つ。
「たった3週間だけど、母さんだってやりたいことがあるはずだ。会いたい人だっているだろうし。俺が母さんの立場だったら、絶対に言ってほしい。死ぬ前に1つでもいいから、やりたいことをやって死にたい」
あたしが、ママの立場だったら――……?
『千春、あんた末期ガンだって』
そんなふうに言われたら、きっとあたしは漠然と、余命はあと半年から1年くらい? って思うだろう。
実際は3週間。
でも、あたしはそれ以上の余命だと思っているから、落ち込みつつも、自分のやりたいことを1つずつ考えてみる。
リストアップして、さぁ、順番にやっていきましょう、
……そう思い立った時、ううん、ひょっとしたらリストアップの最中に、何もできないまま逝ってしまうかもしれない。


