Ending Note



夜、ご飯を食べた後に、パパにママの病院に行ったことを報告すると、避けては通れない話題に入る。




余命3週間を、ママに宣告するか、しないか。



ホスピスは強制ではない。

ただ、精神的な面を考えれば、今の病室にいるよりも末期患者の対応に長けているスタッフが揃っているホスピスのほうがママのためにはいいんじゃないか、と、担当医は勧めている。



「――あたしは……宣告しない方がいいと思う」



今日、ママに会って思った。

きっと今のママは、ギリギリの精神状態なんじゃないかって。



“軽く入院している程度だと思って?”

“じゃないとママ、めげそうよ?”



こんな状況のなかで、ママが吐き出した本音。


現実から逃げているママに本当のことを話してしまったら、それこそ余命が縮まってしまいそうだった。



「病は気から……っていうでしょ? 3週間なんて知ったら……、ママ、どんどん弱っていくような気がする」



ポツリポツリと呟くようにして自分の意見を言い終えると、今度は虎太郎が口を開いた。