それからオレンジジュースを買ってきた虎太郎が戻ってきて、3人で他愛もない話をした。
学校のこととか、ご飯を当番制で作っていることとか。
ママはすまなそうな顔をするどころか、
「そこまで家事ができたら、あんたたちすぐに結婚できるわよ」
と、上から目線で言った。
ママが少しでも「ごめんね」とか「大変でしょう?」なんて言葉を口にしてしまったら。
あたしたちはきっと、落ち込んでしまう。
余命3週間という現実。
ママがいつものように接してくれるからこそ、その現実から逃避できる。
「あ、そうだ」
面会時間終了を見計らって病室を出るとき、ママがあたしたちを呼び止めた。
「あんたたち、毎日のように会いに来ないでね?」


