放課後、虎太郎と一緒に歩く病院までの道のり。
「精密検査のこと、絶対に母さんに言うなよ」
虎太郎は口を酸っぱくして忠告する。
何かのきっかけで感情を抑えきれなくなったとき、あたしが責めると思っているのだろう。
「大丈夫。……たぶん」
正直、あたし自身も不安だ。
ママの顔を見たら、開口一番に言ってしまいそうな気がしてならない。
「……姉ちゃんが言いそうになったら、俺が止めてやるよ」
……まったく、あんたって子は。
いつの間にそんなにたくましくなったの。
「……頼りにしているぞ、弟よ」
重い空気のなか、あたしたちは静かに笑った。


