「何なのよ、“うっかりしていました”って！ ほら、やっぱり兆候があったんじゃないの！ 自業自得じゃん、それって！」
ママに対して言いようのない怒りが沸き起こり、あたしはそれをパパにぶつける。
「……このことはおまえたちには黙っていようと思ってたけど、訊かれた以上、はぐらかすわけにはいかないって思ってな」
「虎太郎は知っているの？」
「……おまえたちは本当にそっくりだ。虎太郎もさっき、同じ疑問をお父さんにぶつけてきた」
虎太郎はあたしと違って、怒りもせずに冷静な態度だったらしい。
「このこと、お母さんには絶対に突っ込んで聞くなよ？」
「……分かってる。今さら怒っても、どうしようもないから」
……本当に、どうしようもない母親だ。
普通なら、不安になって精密検査をすぐに受けるでしょう？
……少しでも早く治療していれば、助かった命だったかもしれないのに。
