“希望”の紙が、ぱさり、と音を立てて床に落ちた。
「最初にお母さんの病名を告げられた日、お父さんもいろいろ調べた。そして、この先生のことを知ったよ」
「……な、なぁんだ。パパも……調べて……たんだ」
絶望の色が見えるパパの表情。
さっきまで大喜びしていたあたしは言葉に詰まる。
「だったら、明日にでもこの病院に……」
「お母さんの担当医と2回目に話をしたときが、余命のことだった。そのときに、この病院に移れるかを訊いたら……」
“体力のことを考えたら転院は少し厳しいです。仮に出来たとしても、ご家族の方と離れることになるので精神的な問題が出てきますし……”
「転院も……無理なの?」
震える声で訊けば、パパは無言で頷いた。
「千春。お母さんのことを初めて話すのに、こんなに酷な内容ですまない」


