Ending Note



「あ……っ、あった!」



“ガンの名医”として有名な医師が同じ県内の病院にいた。

同じ県内とはいえ、あたしたちが住んでいる所とは正反対の場所。

たぶん……車で行ったら2時間くらいかな?


もしママがこの病院に転院したら、面会に行けるのは週末しかない。

今の病院だったら学校の帰りに寄ることだってできるけれど……。


でも、どんなに遠い病院であってもママの病状に少しでも希望が見えれば、あたしはもちろん、虎太郎もパパもきっと賛成してくれるに違いない。


“ガンの名医”と呼ばれる医師のページをプリントアウトして、刷り上がった用紙を手にした時、タイミングよくパパが部屋にやって来た。



「パパ! ねぇ、これ見てよ!」



弾んだ声でパパにプリントアウトした紙を見せる。

パパは医師の顔写真付きのプロフィールを見て、沈んだ声で言った。



「あぁ……、石倉先生か」


「え? 知ってるの? それなら話は早い。この先生がいる病院でママを診てもらうの。ちょっと遠いけどさ、これでママが、」


「千春――………」