Ending Note



ママはあれだけ元気そうだったのに、実際はそうでもなかったらしい。


あたしたち家族の前では“元気な母親”を見事に演じきったママは、主治医に体の異変を正直に話したようだ。



去年のクリスマス……そう、ママがダイエットを始めた時期。

あの頃から胃の調子が悪く、胃薬で凌いでいたという。

食欲が落ちたのはそれが原因。


そして、日を追うごとに倦怠感や浮腫みに襲われ、お腹も腹水がたまり始め徐々に出始めてきたらしい。



「……父さん、病院を変えよう。セカンドオピニオンってやつだよ」


「そうだよ、パパ。だっておかしいでしょ? いくら具合が悪かったって言っても、あまりにも急すぎるよ。余命3週間ってなに? なにを根拠にそんなこと言うわけ!?」



現実を認めようとしないあたしたちが抗議するように言うと、パパは淡々と話し出す。



「まず虎太郎。お母さんの主治医は肝臓ガンの専門の先生なんだ。そして、千春」



パパが悲しそうな目であたしを見る。



「肝臓は“沈黙の臓器”って言われているそうだ。症状が出てきたらもう……最悪な状態になっているってこと」


「……沈黙の……臓器……」