「あっ、やばい。門限の時間!」
もらった腕時計を見ると、門限1分前。
裕貴先輩が玄関のチャイムを押すと、ママが出迎える。
「さすが息子! 門限ぴったり」
「……だから。息子じゃないでしょうが」
「今日はありがとうございました」
あたしたちの会話に突っ込みも入れず、裕貴先輩はママに丁寧に頭を下げる。
「いえいえ、こちらこそありがとう。門限ちょうどに送り届けてくれて」
「じゃあこれで失礼します」
裕貴先輩は「またメールする」と言って、家を後にした。
「さ、ママのごちそうを少しいただこうかな」
リビングに顔を出すと、虎太郎とパパが真剣な顔をして花札をしている。