初めてのキスはドキドキして。
経験者であろう裕貴先輩も、唇が離れたあと、
「やべ。すっげー緊張した」
と、外灯で照らされた顔が心なしか赤くなっていた。
手作りのお守りを渡したあたしに、裕貴先輩は小さな正方形の包みを渡してくれた。
「開けてもいいですか?」
「どうぞ」
丁寧に包みを開けると、中身は腕時計だった。
「うわー、ありがとう。腕時計だったら学校でも身に着けられる!」
校則が厳しいうちの学校は、アクセサリーなんて御法度。
見つかったら即、没収だ。
もしも裕貴先輩からもらったものがアクセサリーだったら、学校にいるあいだは身に着けられない。
だけど、腕時計だったら堂々とできる。


