いくら待っても、裕貴先輩とあたしの唇は重ならない。
「あー、やっぱ無理だ」
裕貴先輩の落胆した声で、あたしは目を開ける。
「あの、裕貴先輩? 無理って……」
「お母さんとの約束。未成年だから……って。泊まりがダメなら当然キスもダメだろ」
こんなときにママが出てくるなんて。
せっかくのチャンスを逃したらダメだと、あたしは半泣きになって言う。
「キ、キスはしてもいいってお許しが出ています! 大丈夫です! キスまでならOKです!」
……なんかあたし、どこぞの金持ちの箱入り娘みたい。
力強く言い放ったあたしに、裕貴先輩は呆気に取られていたけれど。
「……やっぱりおまえら親子、おもしろいな」
そう言ったあと、あたしの唇にキスを落とした。


