結局、何も話せないまま家に着いてしまった。
「……今日は、ありがとうございました」
言って、バッグの中からプレゼントを出そうとすると、裕貴先輩が呆れたような溜息をついた。
「おまえさ、梨緒のこと気にしてる?」
「…………」
気にしていない、と嘘をつく余裕すらない。
「梨緒とはとっくに終わっているし、だいたいおまえは、俺の彼女だろ? もっと堂々としていろ」
「う………」
“俺の彼女”
そう言ってくれた裕貴先輩の言葉に、目頭が熱くなる。
そして、後に続いた言葉にあたしの涙腺は崩壊してしまった。
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