「うわぁ……あり得ないんだけど。あんた、裕貴くんのこと追っかけて今の学校に入ったのに、まだ進展なしって……。しかもいまだに見てるだけってどういうことよ」
たとえばこれが、少女マンガだったりケータイ小説の世界ならば。
今の発言のあとに、“親友のダレダレが呆れたように言った”という、あたしの心の呟きが続くのだろう。
「ちょっと、裕貴くんの写真見せて。あんたのことだから隠し撮りしてるんでしょ」
「うっ……」
あまりにも図星な発言に、あたしはスマホを操作して素直に隠し撮りした写真を見せた。
……親友のダレダレ、じゃなくて。
ママに。
「あらららー? ちょっとこれ、超イケメンってやつじゃないの! これじゃあ、あんたがいまだに“見てるだけ”ってのも分かるわ」
「………」
「声をかけるのさえも恐れ多いわね、この超イケメンは!」