Ending Note



「まず、花見の日のこと」


「…………」



命令されたとおり、あたしは黙ってコクリと頷く。



「おまえとの電話のあとに梨緒から電話がきたわけだ。“今から会える?”って」


「…………」



うんうん、と、口を堅く閉じたまま相槌をうつ。



「正直、嬉しくて、花見よりも梨緒を選んだ。……本当に悪かった」



それはあたしが想像していたとおりの、裕貴先輩の本音だ。

親友の加古川先輩やあたしたち後輩との花見よりも、忘れられなかった元カノ・平川さんとのデート。

あたしが裕貴先輩の立場なら、同じように平川さんを選ぶだろう。



「実際会って、何をしたかって言えば……、まぁ、普通に映画見て、昼飯食って……」



あの日、あたし頑張ったのにな。

裕貴先輩も食べるお弁当だから……って早起きして。