Ending Note



学校から家までひたすら走り続けて、玄関のドアを開けて「ただいま」と言ったとき、あたしの顔は涙でグシャグシャだった。



「ち、千春っ!?」



帰り着いたあたしを出迎えたのは、その日、仕事が休みだったパパ。

あたしの恋愛事情を知らないパパはひどく驚いた顔をしてオロオロする。



「ど、どうしたんだ!? いじめられたのか? 卵とか投げつけられたのか?」



……なぜ、卵?


突っ込む気力なんかあるわけがない。

眩暈がするほどぶっ飛んだことを真剣に訊いてきたパパが余計に悲しくて、あたしは声を上げて泣く。



「えっ? えっ? そうなのか? 卵なのか!?」


「……うっ、うううっ……」



嗚咽を上げて泣き続けていると、パパの背後から冷めた声が聞こえてくる。



「泣~かしたぁ~、泣~かしたぁ~。ちーはるちゃんを泣~かしたぁ~」



恋愛の神様の登場だ。