少し間を置くとママは宣言通り、直球ストレートで言い放った。
「今日、裕貴くんに振られたな?」
言われた直後、堪えていたはずの涙がどっと溢れだした。
面白いくらいに、それは止めどなく流れ落ちていく。
「ほら、母上に報告せよ」
ママはあたしを素直にさせるツボをよく知っている。
後ろから優しく包み込むように抱きしめて、あたしの頭に自分の頬を寄せる。
ママにこれをされると、あたしは余計に泣いてしまうし、すべてを吐き出してしまいたくなる。
裕貴先輩と平川さんのことを、順を追って話した。
お花見のドタキャンも。
ママには、裕貴先輩もお花見に来て、あたしが作ったお弁当を褒めてくれたと嘘をついていた。
正直に嘘だったことを話すと、ママはあたしを責めるわけでもなく、ただ、うんうんと聞いてくれた。
「……以上……っ、報告……終わり……っ」
嗚咽を上げながらすべてを話し終えると、ママはあたしを抱きしめていた手をほどいた。


