……なにそれ。
お花見ドタキャンと、あたしからのメールに返事をしない理由は、平川さんとヨリを戻したから?
“仲良さそうに手繋いでたよ?”
ふと、自分の左手を見つめる。
花火大会のとき、この手は裕貴先輩と繋がっていた。
大きくて、温かい手のひらは、あたしのこの左手をすっぽり包むように握り締めていた。
迷子にならないように、って。
だけど、平川さんと繋いだ裕貴先輩の手は、あたしの時とは違う。
そこにあるのはたった1つ。
平川さんへの大切な思いであって、あたしには抱いたことすらない感情なんだ。
あんなに酷い別れ方をしたから。
2人がヨリを戻すことは絶対にない、あり得ないって、心のどこかで安心しきっていた。
でも――………
裕貴先輩の気持ちは、結局は平川さんのもとに置き去りにされたままだったんだ。


