Ending Note



今朝、あたしに合わせて起きてきたママが手伝いもせずにつまみ食いばかりしていたことを話すと、奈瑠美は「お母さんらしい」と笑った。



お花見シーズンの日曜日。

電車はいつも以上に混雑していて、家族連れの姿が目立つ。



……そういえば、最後に家族でお花見したのっていつだったっけ?


すぐそばの席に座っている小さな子供を連れた家族を見て、ふと、そんなことを考えてみる。



たぶん、小学生の頃が最後だ。

中学に入学してからは、家族みんなでどこかに出かけることが何だか恥ずかしくて……。

「お花見に行こう」と誘ってきたママに、「頭が痛いから行かない」って仮病を使って断ったことを覚えている。


きっとママは、そんなあたしの嘘を見抜いていたんだろう。

本当に具合が悪いときは、熱を測ったり、どこがどう悪いのかを聞いてくれたりしたのに。

あのときは「ちゃんと寝てなさいよ」とだけ言って、パパと虎太郎を連れてお花見に行ってしまった。



……いま思えば、何てバカらしい意地を張ったんだろう、と少し後悔している。