「うん、分かったから」
あまりにも焦っているママがおかしくて。
それ以上のことは言わず、あたしはお弁当作りを、ママはつまみ食いを再開した。
お弁当が完成したのは9時前。
ママは洗濯を始め、パパは新聞を読みながら朝ごはん、虎太郎はまだ寝ている。
あたしは自分の部屋に戻って、裕貴先輩にモーニングコール。
「……あ、もしもし。おはようございます」
『ん……、あぁ、栗沢』
いま起きました、という感じの裕貴先輩の少し掠れた声にドキドキしてしまう。
普段はめったに聞くことのできない声だ。
「起きました? 二度寝しちゃダメですよ?」
『んー……。完全に目が覚めるまで何か話して』
「えっ!?」
何か話してって言われても、そんなに急に思いつかない。


