「……実はね、千春」
深刻そうな顔をして、ママが青汁が残っているコップをテーブルの上に静かに置く。
その様子に、おにぎりを作っていたあたしの手が止まる。
「なに? どこか悪かった?」
「…………」
「ママ?」
「……大変なのよ、ママ」
絶望したように自分の顔を両手で覆い隠すママ。
あたしはママの真向かいに座って、「ちゃんと話してよ」と訴えてみる。
しばらくの沈黙。
あたしの心臓の音だけがドクドクと鳴っている。
今の今まで、賑やかだったキッチンを不気味な静寂が襲う。
「ママ」
ママの顔を覆っている両手にそっと自分の手を添える。


