「……ムカつくっ!」
ベッドにドスンと腰を下ろし、手元にあったクッションを思い切り壁に投げつける。
あたしの恋愛、ママのペースで進められるわけがない。
裕貴先輩を思い続けて5年。
今みたいに進展した関係が5年も続いていたのなら、ママの言い分も分かる。
けど、違うでしょ。
仲良くなれました、はい告白しましょう。
そんなハイペースで進めたくない。
「入ってもいいですかー? はいどうぞー。失礼しますー」
……ただでさえイライラしているのに。
ドアの向こうからそんなふざけた声が聞こえてきて、さらにその声の主が勝手に入ってきたもんだから、あたしは目覚まし時計を投げつけてやろうと振り上げた。
「ね、きのこサラダと海藻サラダ、どっちがいい?」
「…………」


