クソガキのストレートが俺の左頬に炸裂した。


桜空が死んでから喧嘩三昧で殴ることも殴られることも多々あったが、これほど利いた拳を感じたことはなかった。



気がつけばクソガキ相手にガチでタイマン勝負してる有様だ。




だが、こいつの拳や蹴りを受けるたびに、細胞の一つ一つに何かが目覚めていくのを感じる。




こいつの楽しそうに笑う目が。



生き生きとした拳が。




俺が今を生きている痛みを感じさせてくれた。




「…クソガキ。てめぇ名前は?」

「雲母凱だよ。アンタ強いね、気に入ったよ」



それにこのふてぶてしさ。同じ碧眼でも桜空とは大違いだ。




凱の描く世界は、極彩色に彩られたけばけばしい世界だった。



だがこいつは純粋なヤツだ。



凱は何より『力』を求める。



それは自分よりも強いヤツを探しては闘いのレベルを上げていく、そんな危なっかしいヤツが雲母凱というクソガキだった。