それなのに桜空はそんな俺を変えてしまった。



誰かを傷つけるのが…桜空が傷つくのが怖いと本気で恐れている。




物思いに耽る俺の顔に、冷たい水しぶきがかかった。


「タツキ!海デ、泳ぎタイヨ」


百均の安い水鉄砲を俺に向けた桜空がにこにこしながら沖を指差した。


「ほらご指名だよ彼氏さん。行かなきゃ桜空ちゃん飢えたサメ共の餌になっちゃうよ」


春臣の言うとおり、ナンパ目的の野郎共が無防備な桜空を虎視眈々と狙っている。



やれやれとため息をつく春臣を尻目に、桜空の手を取り遠浅の海を渡って沖へと連れ出した。



桜空の若々しい素肌についた水滴が弾かれるように珠になる。





桜空の足が着かなくなるほど沖合いまで来ると、さすがに恐怖を感じた桜空が俺にしがみつく。ああ、柔らけぇ胸が体に密着していい感じに盛り上がってきたんじゃねぇのか?


「…タツキのいじわる。足、届かないヨ」

「なら俺にしがみついとけ」


さらにその体を引き寄せて桜空の唇に吸い付く。潮風が吹き抜け桜空の銀髪を揺らす。


眩しすぎる太陽、波に光る水面。


腕の中には愛しい女。





俺は今ここで生きている。


…生きていても、いいんだな。