【完・短編】届かないラブレター。



『これ、椅子にかけるか畳んどいてっ!!あ、寒かったら…着とけ』


昼休みになるとサッカーをしに外へ出る仁はいつもジャージやフリースを私に投げてグラウンドに走っていったよね。



"着とけ"



ほんとはこれだけが言いたかったのに恥ずかしくて、付け足したかのように言ってたこと、私は知ってたよ?



貴方の優しさ、ちゃんと届いてたよ?





だけど、私は一人じゃ恥ずかしいから



「仁が着て良いって言っていっぱいくれた~!」




いつも一緒にいた優里たち五人で着てた。



仁は『寒がりだから、俺』そう言って学ランの下に六、七枚服を着てたけど昼休みになったら全部脱いでた。



ねぇ、仁はほんとに寒がりだったの?



今更、答えを探したって見つからないのにね。