「あぁ。ここじゃあれだから、移動しようか」


矢原は悪びれる様子も逃げる様子もなく、そう言った。


少し右足を引きずるようにして歩くその後ろについていく。


矢原が足を悪くしたのは、高校の頃だった。


幼稚園の頃からずっとサッカーをしていたらしい矢原は、プロ野球からの誘いも期待されていて、矢原もプロ選手になることを夢見ていた。


そんな中、起きた不慮の事故。


詳細は矢原が話したがらないから知らないけれど、結局その事故のせいで夢は砕け、そして後遺症だけが今でも残ってしまったのだ。