コンテスト前日、あたしは大学で追い込みを始めていた。


作るもの、材料、出来上がりイメージはすでにできている。


その中でお菓子に入れる材料を増やしたり減らしたりしながら加減していくのだ。


あたしは焼きあがったスポンジを講師に味見してもらう。


「今度はちょっと甘さが足りないんだじゃなかしら」


講師は、難しそうな顔をして首をかしげる。


さっきから、あたしのお菓子は何かが足りないと言われているのだけれど、それが何か自分でわかっていない。


だから、何度作り直しても味がハッキリしてこないんだ。